「……小春、何かあったのかい?」
クレープをあまり食べない私の姿を不審に思ったのか、奏ちゃんに心配そうな声をかけられる。
「うん……朝、リクと喧嘩しちゃったから」
「喧嘩? 陸斗と小春が?」
少し驚いた奏ちゃんの声に、私は苦笑いして頷いた。
「それは……珍しいっていうか、初めてじゃないか?」
「うん……そうだね。大きい喧嘩は、初めてかも」
昔から他愛ない喧嘩はしてた。
でもそれはどれも小さな喧嘩。
すぐに仲直りできるというか、どちらからともなくごめんねと謝って笑い合えていた。
今回は、そうじゃない。
もしかしたら、私とリクの間には、長い長い距離ができてしまったのかもしれない。



