桜涙 ~キミとの約束~



やっぱり奏ちゃんは何かに悩んでて、こんな展開になってしまってるんだろうか?

この前は別の時に聞けば……なんて思ってたけど、もうちゃんと聞くべきかもしれない。

それに他にも聞きたい事がある。

ひとりぼっちの意味や、私の笑顔に救われてると言っていた意味。

約束した少年だったなら、どうして黙っていたのか。

もしかしたら全部つながるかもしれない。


「……だとしたら、今日のデートはチャンス?」


思わず声に出してしまうと、いつからいたのか後ろからよっちんに「どんなチャンス?」と声をかけられた。


「わあっ!? い、いたのねよっちん」


驚きでバクバクと弾む胸を押さえながら振り向くと、よっちんは少しだけ目を細めて口元に笑みを浮かべると頷く。


「うん。おはよう小春。で、今日はデートなの?」


小首を傾げたよっちん。

彼女の綺麗な黒髪がサラリと肩から落ちた。