桜涙 ~キミとの約束~



昇降口で奏ちゃんと別れた私は、教室に入るとゆっくりと息を吐きながら自分の席に腰を下ろす。

よっちんはまだ登校してないようで教室内に姿はなかった。

ぼんやりと深緑の黒板を見つめながら、奏ちゃんの事を考える。


みんなに好かれる奏ちゃんは、私の自慢の幼馴染だ。

恋や愛ではないけれど、大好きで大切な人。

その奏ちゃんが変わってしまった。

私の知っているようで、知らない奏ちゃんに。

成長による変化じゃない。

それとは違う変化。

最初にそれに気付いたのは……いつだった?

明らかにおかしいと思ったのは……


そうだ。
リクにはいつも勝てないと言ってた時の様子だ。