「え? 夢の中の……?」
確かめるように奏ちゃんに聞くと。
「そうだよ。小春が約束をしたのは、僕だ」
奏ちゃんは綺麗に微笑んで、頷いた。
それとは反対に、隣りに座っているリクは何故か怪訝そうな顔で奏ちゃんを凝視している。
リクがどうしてそんな表情になっているのかはわからない。
けれど、約束した少年が奏ちゃんだと教えられてなんとなく納得出来る自分がいる。
それは多分、ひとりぼっちというキーワードがあるからだ。
ただ……どうして黙っていたのか。
早く教えてくれれば良かったのに、どうして今言ったの?
疑問を解消したくてそれを口にしようとしたその時、奏ちゃんが「小春」と私の名前を呼ぶ。
奏ちゃんが浮かべている表情は、さっきと同じで綺麗な微笑みのままだ。
その笑みに、言い知れぬ不安を感じるのはどうしてだろう。



