桜涙 ~キミとの約束~



リクの言葉に何の言葉も返せなくて、私は、話す事を優先していてまだ口をつけていなかった好物のメロンソーダを少しだけ口に含む。

口内でシュワッと弾けた炭酸は、いつもよりチクチクと痛く感じた気がした。


「……オレ、ちょっとトイレ」


会話の途切れたタイミングで、リクは行き先を告げ席を立った。

私が「うん」とだけ返事をしてリクの背中を見送れば、奏ちゃんと二人だけになる。

静かに紅茶を飲む奏ちゃんは、やっぱりボーッとしている気がして。

私はさっきも気になった事を聞いてみる。


「奏ちゃん、もしかして体調悪い?」


顔色は悪くなさそうだけど、元気がない。

心配になって奏ちゃんの顔を覗き込むようにすると、奏ちゃんはちょっと驚いた素振りのあと、苦笑いする。