「あんたたち! いったい、いつまでメソメソしてるんだい!!」


 泣き明かしていた双子を、後ろから怒鳴り付ける声がしました。


『……お、お義母さま?』


 二人は声をそろえ、怒鳴り声を上げた継母の方に顔を向けます。

 父の再婚相手の義母は、実の母と比べるとそんなに美しくありませんが、醜いという程でもありません。

 濃い茶色の髪を頭の上できつく一つに縛っているのも、長いスカートに腕の部分が膨らんだ服を着ているのも、いつもと同じでした。

 ですが、今までいつも笑顔だった義母が目を吊り上げ口の端を下に向け、髪と同じ瞳が鋭く憎しみのような輝きを発しています。

 いつもと変わらない格好であるだけに、今まで優しくほほ笑みを向けてくれた義母が、恐ろしい形相で二人を怒鳴ったことが信じられませんでした。


「なんて顔をしてるんだい! 早く夕食の準備をするんだよ、こののろま!!」


 目を見開き凍り付いていた双子に、義母はまた声を荒げました。

 そのあまりの継母の変貌ぶりの凄さは、二人が涙を流すことを忘れる程です。