「く、くやしい……」


 ポツンと、ローズの涙が灰の上に落ちました。


「姉さま……」


 すぐ横にいるティアラも、泣いております。

 ローズは悔しそうに顔を歪めて、ティアラは悲しそうに姉の腕の袖を握り締めながら。


 灰を全身にかぶった『シンデレラ』は、清潔で綺麗な黒色だった喪服は汚い灰色になり、真っ白な手足やほほなども黒く染まっております。

 母が自慢するほど美しかった、金銀の髪も薄汚れていました。

 唯一、前と同じように美しさが保たれていたのは、銀色にもみえる蒼い瞳でした。

 今は悔しさ、悲しみ、衝撃などで、曇った銀色です。

 ですが、涙で揺れていてもその瞳はとても美しく、一際輝いておりました。