二人は悲鳴を上げながら、暖炉のなかに勢いよく突っ込んでしまいました。

 暖炉のなかにあった灰が宙に舞い、二人は一瞬だけ灰で見えなくなりました。


「あーらぁ、ごめんなさいねぇ。でも、そんなところに立っていた、あなたたちも悪いのよぉ」


 わざと突き飛ばしたのに、カリナは高笑いしながらも丁寧な言葉で言います。


「まぁ、あなたたち! こんなに部屋を汚くして。早く部屋を掃除しなさいよ!!」


 コーリンもニヤニヤと嫌らしい笑顔を浮かべ、双子に命じました。

 二人は灰を吸い込んでしまい苦しそうに咳き込み、涙を流しております。


「なんだい、おまえたち! 暖炉のなかに突っ込んで灰まみれじゃないかい!!」

「ねー、お母さま。でも、あの子たちにはあの姿がとてもお似合いだわ!」


 そんな双子に、一部始終を見ていたのにも係わらず、継母は今見たという感じで言いました。

 母に続いてコーリンもここぞとばかりに言います。


「……そうね、まるで灰かぶり。“灰かぶり”『シンデレラ』よねぇ、お母さま」


 あごに手を当てて考え込むようにしてカリナが言いました。

 その表情はとても生き生きとし、見下すように灰をかぶった双子を見ています。


「あーはっはっはっ!! それはいい。まさにあの子たちにピッタリじゃないかい!」

「ええ、すっごくピッタリよ! すごいわ、お姉さま。天才ね、お姉さまは!!」

「うふふふ。それほどではないわぁ。あー、『シンデレラ』! そこの掃除が終わったら夕食をお願いね。すぐによ。なんだか笑ったら、お腹がすいちゃったわぁ」


 好き勝手なことを口々に言いながら、三人は部屋を出ていきました。

 ドアを閉めてからも、継母たちの笑い声が双子の耳にも届きます。