―春が来た。


高校三年生になり、新しいクラスへと変わる。


「あー…真白さん、おはよう…」

「……………おはよう」



隣の席に座る男子が私に挨拶をしてきた。


私はそれっきりただ無言で席に着く。



「ねぇ、あれが東先輩の…」

「馬鹿!聞こえるよ!?」



まただ……
蛍ちゃんの話…


蛍ちゃんが死んだ事で、私は学校では少し有名だった。


彼氏が死んでしまった可哀相な彼女。


彼氏を置いて一人だけ助かった最低な彼女。


色んな噂が流れた。


最初はあんなに辛かったのに、今は聞かないふり、見ないふり。


何もしらないくせに、私達の事を噂する学校の人間が大嫌い。