「………………」


目の前にある輪切りのキュウリがぼやけて見える。


「…っ………」


一度溢れた涙は止まる事なく流れた。


駄目だ…
最近私はまた弱くなってる。


泣きたくなんかないのに…
私はまだ…
あの日から抜け出せない。


―カタッ

「!!!」


物音がして振り替えると、そこには秋君がいた。


「あっ…おはよ…う…」


私は慌てて笑みを作って秋君に背を向ける。


「ご飯、まだなんだ。座って待っ………て…て…?」


言い終わる前に秋君に後ろから抱きしめられる。


…秋君……?
どうしてまた抱きしめるの?


そんなに優しくされたら…


「…っ……うっ…」


もう限界だった。
秋君の前でも構う事なく泣き続けた。