「さぁ、どうしてだろうね?」
いつか聞いた返答だ。
「あ…ここだよ」
気づけば私の家の前だった。マンションの入口に入る前に秋君を振り返る。
「秋君今日は……」
「何言ってんの、部屋まで送るよ」
「え!!!」
それはどうかと思う。
年下とはいえ男の子を部屋に上げるなんて…
「先輩、ぼーっとしてどうしたの?俺に襲われる妄想?」
「お、襲………?」
―ドクンッ
あの時の嫌な記憶が蘇る。安田 亮…
あの人に触られたあの時の感触…
「冗談だから、後ずさるのやめてくれない?って、先輩……?」
真っ青な私に気づいて秋君が私に手を伸ばす。
怖い…怖い怖い怖い!!!
―パシッ
「触らないで!!!」
思わず秋君の手を振り払ってしまった。
「あ…秋く…ごめっ…」
「いや…ごめん、今のは俺が悪かった…」
秋君も驚いたみたいだったけど笑みを向けてくれる。
…変に…思われたかな…
普通じゃなかったよね…
「はぁ……」
私、秋君に気にかけてもらっといて失礼
な事しちゃった。
「先輩ごめん、疲れた?」
エレベーターに乗りながら秋君が心配そうに私を見る。
「え、私こそごめんね?大丈夫だよ」
良かった、秋君怒ってないみたい。
「あ、ここだよ」
私は部屋の前で秋君に頭を下げた。


