「…佐久間君」 「先輩?」 いつもは王子だとか余計なモノをつける佐藤先輩が俺の苗字を呼んだ。 「雛先輩の事、助けてあげて」 「え………?」 佐藤先輩は真剣な目で俺を見つめる。 いつものふざけた感じはなかった。 「もう時間がないの…。先輩はあと一年で卒業しちゃう。それまでに先輩の止まったままの時間、もう一度動かしてあげたい…」 あと一年……… そうか、先輩はその日からずっと… 「俺に…出来る…?」 雛先輩の苦しそうな顔を見つめる。