「やぁ、王子!」
「!!」
俺はとっさに雛先輩の手を離した。
ヒョコッと佐藤先輩が現れる。
「雛先輩、具合どうかな?」
「どうですかね、とりあえずは眠ってます」
雛先輩は苦しそうだが眠っている。
額の汗をタオルで拭いてやる。その時に触れた額は驚くほど熱かった。
「先輩、また……」
佐藤先輩はいつか見た雛先輩の表情と同じ悲しげな顔をしていた。
『また熱が出たのね』
確か安田先生も"また"と言っていた気がする。
もしかして佐藤先輩も何か知ってるの?
「先輩」
「うん?なんだい、後輩王子」
「いや、王子いらないんで」
佐藤先輩はいつもの明るさで笑っている。
それもどこか無理してるように見えた。


