「失礼します」
「はいはーい」
保健室の中へ入ると、保健室の先生、安田 葉月(やすだ はづき)に笑顔で出向かえられた。
「あら、また熱が出たのね」
「また?先輩、体悪いんですか?」
先輩をベッドに寝かせて布団を被せる。
「新入生の王子は真白さんの事知ってるの?」
「俺、美術部なんで」
「ふぅん〜?」
安田先生は意味深な笑みを浮かべて俺をジロジロと見る。
「なにー?真白さんが気になってるのー?」
「俺、何も言ってませんけど」
面倒だな、この女。
色々気づいてるみたいだ。
色々…
「でもイケメン頂点の王子でも真白さんだけは無理ね」
「何で言い切れるんです?」
この際イケメン頂点の王子はスルーする事にする。
何しろ事実だ。
「うん?知りたいの?」
「先輩の事なら何でも」
「ま、どうせこの学校にいれば知る事になるんだし」
…どういう意味だ?
安田先生は妖艶に笑い机に肘をつく。
通称、保健室の魔女。
この美貌に一体何人の男が骨抜きにされたか数知れない。
俺はこれっぽっちも興味はないが。


