ータッタッタッ!
「秋君!お待たせ!」
私は霊園の坂を下り、そこで待つ秋君に駆け寄る。
「そんな走ったら、転ぶよ?俺、ちゃんとここにいるから落ち着きなって」
苦笑いを浮かべる秋君に私は笑いかける。
「だって、すぐに会いたかったから。それにね、すごく嬉しい事があったから、聞いてほしくて」
「へぇ?何?」
私は光子さんの事を話した。
「そっか、お母さんも雛の事、心配してたのか…。雛、色んな人に大切にされてるんだな。まぁ一番は俺だけど」
「ふふっ、そうだね。一番は秋君だよ。私の事を大切に守ってくれた。本当にありがとう」
「あんまし、可愛い事言うの禁止」
秋君が赤くなりながら私の頭を撫でる。
「秋君、大好き」
「言ったそばからこれだもんな」
呆れながらも、笑いかけてくれる秋君の手を、自分から握った。
この手を、私は絶対に離さないでいよう。
二度と、失わないように、傍で守っていきたい。