ーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーー
ーーーー


「…すぅ………」

「秋君……………」



まるで、私を手放さないかのように抱き締めて眠る秋君を見上げる。


それからそっと抜け出し、眠る秋君の髪を優しくすいた。



柔らかい……………
秋君の声も、温もりも、昨日の熱も、今感じている髪の柔かさも……


私はきっと忘れられないから、私の中に秋君の残像がずっと残ってしまうのだとしても、あなたを好きになれて良かったって思うよ。



「さよならだね………」


また滲んでくる涙を必死に堪える。



この世界で誰よりも、蛍ちゃんよりも深く繋がった人は秋君だけなのだと思う。


別れは、誰よりも近づけたと思えた今この瞬間に訪れる。


大好きだよ。
大好きなのに傍にいれない。
もっと、簡単に、想いに素直に生きられたら良かったのに…


「秋君、私を嫌いになってね…。できるだけ悲しまないように、私を恨んで……」



憎んで、恨んで、嫌いになってくれていい。
忘れられない痛みを、私は誰よりも知ってるから……



それを知りながらも、私はその痛みをこの世で最も大切な人に与える。


「大好きでした、秋君…。さようならっ……」

その額に唇を落とし、私はこの部屋を出る。



私の二回目の恋。
さようなら、私の最後の恋……………