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家について、私はさっそく伊達さんへと電話をかける。


-プルルル


これで、私はもう引き返せない。
どんな結果が待っていても、私はこの決意を後悔しない。


-プツッ

『はい、もしもし伊達です』

「え、あ、あの!真白といいます!ごぶさたしてます!」



慌てる私に、電話から笑い声が聞こえた。


『あの時のお嬢さんだね、久しぶり、真白さん』

「覚えててくれたんですか!?」

『もちろん、コンクールの返事、聞けるのかな?』


伊達さんは本題を切り出してくれた。


「はい。私、挑戦します!夢を諦めたくないんです」

『良かった、真白さんの夢の原石が、どう輝くのか…私は、楽しみだよ。テーマは”心を占めるモノ”だ。応募用紙は郵送しよう』


「はい!ありがとうございます!」


私は住所を伝えて電話を切った。


まだ、ドキドキしてる…………
わたし、これから世界に挑戦するんだ。

ただの高校生が、日本も飛び越えて世界にいくなんて……
なんか、私…とんでもないものに挑戦しようとしてるような気がする。


「でも、頑張るって決めたんだから……」


私は布をかけた蛍ちゃんの絵に手をかける。

-フワッ


布をとり、その絵を見つめた。
そこには澄み渡る青空が広がっている。


私の大切な空…………
私だけの空………





「私の心を占めるモノ………」


私の心を占めるのは………
大好きだったのに、悲しい気持ちが溢れてくる蛍ちゃんの事。


そして、大好きなのに素直に選べない、切ない気持ちになる秋君の事。



私のふたつの恋心。
どちらも大切で欲しくて、捨てられない恋。
過去の時間にある恋、今この時にある恋。


私の心は、いつもそのふたつの恋心が占めている。



-ピーンポーン


考え込んでいると、インターフォンが鳴った。


秋君がバイトから帰ってきたんだ。
秋君と私は交互にお互いの家に泊まっている。


お互いの孤独を埋めて、出来るだけ多くの時間を一緒に過ごしたいから。