「うん。一握りの人が掴める夢が、私にも掴めるのかって…踏み切れなくて…」


画家は、私の夢。
でも、それが駄目だったら?
私はその現実を突きつけられるのがすごく怖い。



「でもさ、試さないうちは掴めないだろうね、夢なんて」

「………あ………」

「そうです!それに、雛先輩の絵を見て入部を決めた人がこんなにたくさんいるんですよ!試す価値大アリです!!」


「二人とも…………」


試さないうちは………そうだよね、私はまだ、悩む段階にすらいないんだ。


悩む前に私は試してみたい。
少しでも、私の絵にも誰かを惹く力があるのなら………



「本当だ、私、こんな簡単な事になんで気づけなかったんだろう」


うん、コンクール、出してみよう。
それで駄目ならまた考えたらいいじゃない。



「私、やってみるよ!二人とも、ありがとう!」


そう言って笑うと、二人は優しく笑みを返してくれる。
二人は私の背中を押してくれて、立ち止まってばかりいる私に歩き出す力をくれる。


そんな二人が、私は大好き…………