「…先輩………」

「!!!」



秋君が私を強く抱き締める。
加減のない強さで私を包み込む。



「先輩、俺本当にどうしたらいいかわからない。何とかしてあげたいのに、俺って本当に無力だよな……」

「秋君………?」


―ポタンッ


何かが頬に落ちた。
顔を上げると秋君は泣いていた。


秋君…………


なんて優しいんだろう……
この人が私の為に心を痛めてるのが申し訳なくなる。


この人は、幸せになっていい人なのに…



「私なんかの為に泣かないで?秋君は笑顔がやまぶき色みたいに眩しくて綺麗なんだから……」



私の好きな笑顔、私にはないモノ。
だから羨ましい…


「綺麗なのは先輩」

「…ふふっ、ありがとう」

「先輩、信じてないでしょ。俺、本気で言ってんのに」

「うん、ありがとう」



秋君、本当にありがとう。
傍にいてくれて、拒絶しないでいてくれて…