「絵はどんな世界も創り出せるでしょ?私はその幻想に逃げてたの」

「先輩……先輩は…」



秋君は何か言いたそうに私を見つめる。菜緒ちゃんはうつ向いていた。


「あ、二人ともごめんね。暗い気持ちにさせちゃって。大丈夫だから、違う話しよう?」


私はなるべく明るく振る舞った。


私のせいで、二人まで元気がなくなったら嫌だから……



「何言ってるんですか、先輩!」



菜緒ちゃんはガッツポーズで立ち上がる。



「私は先輩の不安も、悲しい気持ちも一人で背負ってほしくないんです!何かあったら私達がいますから!」


菜緒ちゃん……


「佐藤先輩、先に言わないで下さいよ。まぁ、佐藤先輩の言った通り俺は先輩を1人で泣かせたくないから、辛い時は辛いって頼ってよ」


秋君………



二人とも、どうしてそんな優しいの…?
私は……私は、優しくされていい人間じゃないのに………



そうわかってるのに、私は二人の優しさに甘えてしまう。


「二人とも……ありがとう…」



泣きそうになったから下を向いた。また二人心配かけるのはやっぱり申し訳ないから。


二人はただ黙って私の手を握ってくれる。


多分、私が泣いてることに気づいてるのかもしれない。



そう思えばまた、二人の優しさを感じて思わず二人の手を握り返した。