「先輩?」
「え、本当だ!!」
聞き覚えのある声に顔を上げると、秋君と菜緒ちゃんがいた。
私の前の人だかりを抜けてこちらへ来る。
「先輩、 ここで、何してんの??」
「あ、ここで絵を……」
私は筆を持つ手を軽く上げた。
「雛さん、お友達ですか?」
「あ…伊達さん」
後ろから伊達さんが笑顔で近づいてきた。
「私が彼女に描いてくれと頼んだんですよ。彼女の絵に魅力を感じてね」
魅力……
伊達の目に私の絵が魅力的に見えてるだなんて……
私の絵か…………
本当に絵に生きる未来が私にはあるのかな…
一握りの人だけが輝ける世界に、私は飛び込めるの?
「え、あ、伊達さん……」
「おや、これは………」
驚く事に声をかけたのは秋君だった。
え、秋君?
伊達さんと知り合いなの?
「いやー、あ……」
「はじめまして…という事に?」
「すみません」
狼狽える秋君に伊達さんは笑った。
「う、うん?」
よくわからないけど、秋君はあんまり聞かれたくないのかもしれない。


