「すぐに返事をしなくてもいいですよ。悩んで、あなたの夢が見えたら連絡してください」
伊達さんは私に連絡先を書いた紙を渡した。
「は…い……」
伊達さんは私に笑いかける。
「なに、そんなに悩まなくても、自分が今何をしたいのか…。自分の願いや想いに素直になれば自ずとわかりますよ」
私がなにをしたいのか……
「さぁ、観客もあなたが絵を描くのを待っていますよ」
「は、はい!」
伊達さんは私の肩に手を置いてキャンバスに向かせた。
「キャンバスは雛さんの想い浮かべる世界を映し出す鏡です」
「鏡……?」
私の想いをキャンバスが映し出す…
「あなたの絵はあなたの心。あなたが伝えたいと思う心、想いを素直に筆に乗せて描いてみて下さい」
想いを…筆に乗せて……
素直な心で…


