青色キャンバス




「お母さん!!あれ、綺麗な絵だよ!」


目の前を通りすぎようとした親子が私の絵の前で足を止める。


「すごい!綺麗!!」


男の子が私の絵を見て笑顔を浮かべる。


あ…綺麗な笑顔………


「なんだかじんときたわ」

「何かしなくちゃいけない気になるな。もっと頑張らなきゃって思うよ」


……なんか嬉しいなぁ…
私の絵を見て、何かを感じてくれるのは嬉しい。



「雛さん、あなたの絵には力があります」

「力……?」


聞き返すと伊達さんは真っ直ぐに私を見つめて、強く頷く。


「その絵を通して、雛さんは見る人達に感動、共感、希望を与えた。それは、普通の人には出来ないですよ」


「そんな、私はただ……」


描きたい絵を描いただけだ。
いつもみたいにただ一心不乱に筆を動かしただけ。