青色キャンバス



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「…お粗末さまでした…」


―パチパチパチッ


伊達さんを含む数人のお客さんが私の絵を見て拍手をした。



伊達さんのアトリエは展示場に用意された見物出来るアトリエだった。


私、全校遠足に来たのに良いのかな…


すごく貴重な体験だ。



私が描いたのは海底に眠る少女。


「雛さん、絵について解説できますか?」

「え!あ、はい…えと…」


緊張しながら絵の横に立つ。お客さんの視線が私に集まった。



「…えと、これは…暗い暗い海底で、太陽の光が射すのをじっと待っている…そんな絵です…」


海底に十分な光は届かない、せいぜい蝋燭の灯り程度だ。


「人は、どんなにすぐれた才能があってもきっかけが無ければ目覚めません。」


そしてそれは私にとって蛍ちゃんとの出会いだった。


「どんなに待っても光が射さないように、ただ待ち続けるだけじゃ欲しいものは手に入らない。だから自分のその手で掴んで、その目で望むモノを見つめてほしい。そんな想いで描きました」


私はあの時、自分の足で美術室へ足を踏み入れた。