青色キャンバス



「ならお嬢さんは私と同じ想いでこの絵を見ていたんですね…」

「え……?」


伊達さんもって…
伊達さんも誰か大切な人を…?



伊達さんの顔は寂しそうで、それ以上は何も聞けなかった。


「この絵は一見幸せな風景に見えるかもしれません。でもただ綺麗なだけではない。わかる人にはわかるんです。あなたのように、この絵の裏側に秘められた真実を」


この絵に込められた引き裂かれるような痛み、悲しみ。



「私もあなたも、いつかこの絵をもっと違う気持ちで見れたらいいですね」

「いつか……」



そんな日が私に来るの?
いや、来るはずない。


だって…
もう蛍ちゃんはいないんだから…


「でも、本当に素敵な絵です。また別の人には、こんな未来があればいいなって夢を与えられる絵になると思います」

「…お嬢さん……」


伊達さんは少し驚いたように私を見た後、泣き笑いのような笑みを浮かべた。


「ありがとう、可愛いお嬢さん。名前を聞いても?」

「はい、真白 雛です」


軽く頭を下げる。



「雛さん、可愛らしい名前ですね。制服…という事は学習でここに?」

「はい、全校遠足で。私、美術部なので絵を見たくて展示場に。何か参考になるかなって」



実際、来て良かった。
画家によって描き方もそれぞれ。


すごく勉強になった。