「私はこの絵を描いた伊達 壇二朗(だて だんじろう)といいます」
…この絵をかいた……
かいたって……
「この絵の画家さん!!?」
「ほっほっほ!」
驚いて半歩身を引いた私を伊達さんは面白そうに笑った。
「そんな!!お会いできて嬉しいです!とても綺麗な絵だったから…」
私はもう一度絵に視線を戻す。
「青い空も青い海も、私が望んだものそのものです…」
あなたがいてくれたら、もっと綺麗だったのに…
「ならどうしてお嬢さんは泣いてるんです?」
「え?泣い…て…?」
頬に手をあててみる。
すると何故か濡れていた。
…私、いつの間に…
あぁ、だからぼやけて見えたんだ。
「お嬢さんにとってこの絵は望んだのに悲しいものなのかもしれないですね」
望んだのに悲しい…
「…どんなに望んでも、絶対に手に入らないから…かもしれないです」
「手に入らない?」
だから、欲しいと望んでも無駄だとわかって失望する。


