青色キャンバス



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「先輩、先輩!!やばいすごいですね!!」


菜緒ちゃんは絵を見ながら声を上げた。


「うん、すごいね」


本当すごい。
プロの絵は人を魅了する力がある。


「…私、あそこ見てきます!!」


菜緒ちゃんは遠くの展示場へ走って行った。


私は目の前の風景画を見つめた。


描かれていたのは青い空と青い海だった。


「……………………」


あの日、私が望んだ風景。隣にはあなたがいるはずだった。


綺麗なのに、どうして歪んで見えるんだろう…


「お嬢さん、この絵をどう思いますか?」

「え…??」


突然聞こえた声に隣を見ると、見知らぬおじいさんがいた。


「あ、あの……?」


ど、どちらさま!?


おじいさんは柔らかい笑みを浮かべて私を見つめる。