「幻想的…」
色の境目がはっきりしない感じがまた良い。
…写真に撮っちゃおう。
携帯を出して空に翳す。
携帯の画面に茜空が映し出された。
―パシャッ
「いい映り!」
携帯の画面に広がる茜空を見て笑みがこぼれる。
帰ったらさっそく絵にしようかな…
―ダンッ
「疲れた!!」
突然聞こえた声に振り返ると教室のドアを閉めてしゃがみ込む秋君がいた。
「あ、秋君!?」
「先輩、シッ!」
秋君は少し慌てたように自分の唇に人差し指を当てる。
「????」
わけがわからず首を傾げているとどこからか地鳴りが聞こえた。
…な、なんの音!!!?
―ドドドドッ!!
音はだんだん近づいてくる。
「あ、秋君??」
しゃがみ込む秋君の隣に座りながら出来るだけ小さな声で尋ねる。
「俺、人気者だからさ」
秋君はたいして嬉しそうでもなく、遠い目で言い放った。
「秋君〜!!」
「どこ行っちゃったの〜!?」
複数の女の子達の声が廊下の外から聞こえる。
あ、秋君のファンの子達!?
追いかけ回しちゃうなんてさすが今時の肉食女子!


