その日は朝から雨だった。

ぼくは、
ぼーっと外を眺めていた。

それはまるで、
何年も読んでいなかった、
昔大好きだった本を
読み返すような感じだった。


たいして珍しい訳ではないのに、
ヘンに新鮮な、
あの感じだ。


ぼくは、
しばらく中断していた、
「自分自身について考えてみる」
事を再開しようとしてみた。


それほど、
しばらくぶりの雨は
ぼくを退屈させていた。


そんな時、
彼女が、
ビーチサンダルと
レインコートを着て
突然やってきた。


「散歩しない?」