俺はソファーに腰を下ろすと、背もたれに体を預けて目を閉じた。
澪の、ふわっと花がほころぶような無邪気な笑顔が浮かんきて、思わず溜め息をつく。
あの日以来---、
澪には会えていないし連絡も取っていない。
もともと俺の方から連絡をとることは、今までほとんどなかったのだ。
少し前までは澪の方からしょっちゅう絡んできていたし。
こうなってみると、どんなふうに連絡をとればいいのかわからない。
なにか理由をつけるにしても不自然にならないようにと考えると、さっぱり思い浮かばない。
夜の店にいる女の子になら、今すぐ百ほど誘い文句を言えるのに。
相手が澪となると---
おそらく洸貴と同列にしか見られてない俺を、どうすれば恋愛対象---
ひとりの男として意識させられるのか?
怖がらせるようなことは論外だが、ちょっとやそっとのアプローチでは、澪は気がつかない気がする。
