---どうしてこんなことになってるの?



私は柊司の車の助手席で身を堅くしていた。



いまでだって何度もここに座ったけれど、これほど居心地が悪く感じたのは初めて。


シートの皮の匂いと、微かに香るシトラスのフレグランス。

柊司の匂いに包まれていると、さっきの麻紀ちゃんの言葉が甦ってくる。




『思い切って大胆にね』

『澪からキスしてみるとか』

『澪が恋愛対象になることを気づかせるのよ』




私から柊司にキス・・・


---私はハンドルを握る柊司に視線をやる。