俺は澪から目を反らして隣の女の子に視線をやった。



「こちらは…お友達?」

「あ、はい!」



俺は澪の友人と会話しながらも、目の隅に澪を留めておく。



澪は落ち着かないようすで、右手の人差し指を口元に持っていった。


澪の子供のころからの悪い癖---

不安なことがあると人差し指の爪を噛むのだ。



今も人差し指が紅く色付いた唇の間に差し込まれるのを見て、俺は澪の口元に視線が釘づけになる。


うっすらパールを帯びているのは、グロスのせいか?


いつの間にグロスなんて塗るようになっのか---

爪を噛む子供のような仕草が、こんなにエロく見えるなんてどうかしてる。




俺は無意識のうちに自分の上唇を舐めていた。




「み、澪!

私用事思い出した!先に帰るね!」


澪の友人は俺が澪の口元を見つめてるのに気がついたのか、真っ赤になりながら慌てて店を飛び出していった。