身内の欲目ぬきにしても、澪はかわいい。
澪に誘惑なんてされたらどんな男だってイチコロだろう。
なにせ男子高校生と言えば、女に飢えた野獣も同然。
ウブな澪なんて格好の獲物だ。
俺は自分の高校時代の乱れた男女交際を思い出して、身震いした。
澪に男なんて・・・
いやいやいやいや、ありえない。
俺は自分を落ち着けるために、ゆっくりコーヒーを口に含んだ。
「澪から迫ってノってこないなら、その男はホモかEDよ!」
ゲホッ!
むせた俺は慌てて口元を押さえた。
ゴホッゴホッゴホッ
苦しい。
コーヒーは気管のほうに流れたのか、俺は体をふたつに折って盛大に咳こんだ。
ようやく落ち着いて顔を上げると、二人が振り返って俺を見つめていた。
澪の方はぽかんと口を開けて無防備な表情で立っていたが、隣の友達に揺さぶられ我に返ったようだった。
