「最低でもそのくらいしなきゃ。
それで澪が恋愛対象になることを気づかせるのよ」
澪が恋愛対象に?
誰の?
澪は頬をピンクに染めて友人の言葉におろおろしている。
「好きなんでしょ?
彼女になりたいならそのくらい必死に攻めなきゃ」
彼女になりたい?
誰のだ?
俺はなぜだか段々イライラしてきた。
恋バナ。
女の定番、恋の駆け引き。
嫌らしい感じがしないのは、二人から少女らしい必死さ真剣さが伝わってくるせいだ。
でも---
こんな話を洸貴が聞いたらきっと激怒する。
なにせアイツは筋がね入りのシスコンだし。
洸貴本人は隠しているつもりらしいが、年の離れた妹がかわいくて仕方ないのだ。
もちろん俺も---澪が赤いランドセルを背負っているころから知っているし---かわいいと思ってる。
兄弟のいない俺にとって、妹同然だと---
だから、洸貴と同じ気持ちでムカつくのだ。
