冷たい手が、私の首にかけられる。
指先は冷たくて、まるで氷の熱度。
そんな身体から血液がなくなっていくような感覚に襲われながら、私はただ笑っていた。
「…ばーか。ヤンデレめー」
にこりと笑って見せる。
首を締めている彼、カナタも微笑んでいた。
「別にそんなんじゃないよ、殺したら僕のものにできるかもと思っただけ」
「十分ヤンデレだよ」
そうなのかな、と呟きながらかけられていた手が外される。
ドッとのしかかっていた緊迫感が剥がれた。私は尻餅をついた形のまま、カナタに話しかける。
「殺しちゃってもいいのよー?ただ、カナタが捕まっちゃうからイヤなの」
「僕も死ねば一緒だよ?」
「そしたら初めから二人で、じゃない?」
振り返ったカナタは笑っていた。
「ねぇ、噛み付いていい?」
まっすぐ見据える。無邪気に、欲求だけで満たされた瞳。
こくんと、私は頷いた。
