夏休みも終わり、学校へ通い出した最初の日曜日。
その日は練習試合だった。

相手は県内トップクラスの強豪校。


俺とトシと優はまだBチームだったが、今日はお互いBチーム同士の試合をした。


トシからのパス。
必死に相手と競り合いながら走った。

その時、相手からの悪質なファール。

『ブチッ!!!』

体の中から嫌な音が体中に響いた。

倒れると同時に体中を駆け巡る激痛。

右膝に力が全く入らない。

自分の身に何が起こったのか全く理解出来なかった。

ただ、痛みだけがそれを知っていた。

『啓太!!大丈夫か?』

心配そうに駆け寄るトシと優。

全く歩けない俺は、救急車に乗って病院に向かった。


付き添いとして、ユキがついてきてくれた。


『啓太…大丈夫?』
泣きそうな顔をしているユキ。



『大丈夫だよ。心配すんなよ。』
俺は笑って、ユキの頭を撫でた。


『良かった。』
ユキも笑って、そう言った。

病院に着いて、検査が始まる。


検査が終わり、医者から告げられた言葉を信じられなかった。


『前十字靭帯断裂です。』

その言葉の意味が理解出来なかった…