「ありがとう、ございます…。」


「ま、いいや。」


「じゃあ、定期試験も今回みたいにしてください。」


「お前、俺をバカにしてるのか…?定期試験でこんなに簡単になんかするわけないだろ。」


うう…だよなぁ。そうだよね、いくらなんでも定期試験でこんなテストが出てきたら定期試験じゃなくなっちゃうもんね。


『今までの俺ならしないぞ、こんなことまで。』ってどういう意味なんだろう。


今の私にはその答えが見つけられないけれど、私は少し先生の近くに行けた気がするからそれだけでもう十分。


あ、でも…


「これだけなら、家に帰ってからでも良かったんじゃないですか!!」


「まあ、な。でも、面白いしいいじゃねえか。なかなか見られねえよ…?お前が肩で息をしながら来るところなんて。」


そう言いながら再び笑いのつぼにはまる先生。
もう、なんなの…?
カッコよくなったり優しくなったり…イジワルになったり…。

これ以上私にいろいろな表情を見せないで。

胸がキュー…ってなるから。
先生を、もっと知りたくなるから…。


もっと、もっとってどんどん欲張りになってしまうから。


でも、だめ。先生を好きになっちゃ。
先生に恋をしても絶対、実らないから。許されない恋だから…。


「そういえば、ここに来る前、教室で何の話してたんだ?」


「あ、秀くんと?それはー…って、なんで私が秀くんといたの知ってるんですか!?」


私、全然そんなこと言ってないし、先生だってずっとここにいた様子だし。なんでわかったのかな?



「…ほら、見てみろよ。」


そう言って窓に寄り外を指さす先生。
私も、先生の横に立って先生が指さす方向を見てみると…


「教室!!」


そう。ちょうど、こちらから教室がよく見える。ってことは、私の様子が見えていたんだ。声は、聞こえないみたいだけれど。