「…遅い。」


「す、すみま、ハァ…せん…ハァ…。」


「俺が呼び出してから10分は経ってる…よな?」


「は…ハァ…い…。」


だって、校舎が違うし、放課後でドアがどこも閉まっていて入り口が見つけられなかったんだもん…。


一度整えようとした息はなかなか整わなくて、まだ肩で息をしている。

あぁ~…これなら、普段から体力もっとつけておくべきだったぁー!
なんか、先生の瞳の色が変わった気がするよー…。

先生は私の姿を見ながらクックッと喉をならしながら笑っている。

本当に…失礼なんだから。


「次に、遅れたら…お仕置き。だからな…?」


「い、意味が分かりません!!で、それより呼び出されたのはなぜ…ですか?」


「…これだ。」


そう言って先生が見せてきたのは紙…?いや、これは今日やったテストだ。


…やっぱり。だよなぁ。だと思ったんだよ。なんとなくさ。だって、これ以外で呼ばれる理由が無いもん。



「…お前さあ、この結果はさすがに不味くないか?

いくら、定期試験じゃないとはいえ…酷すぎる。」


「え、マジですか?」


そんなに…出来、悪かったのかな。
確かにテスト終わって、出来なかったな、とは思ったが先生に呼び出される程ひどいなんて…。

先生についてはほとんど出来なかったけれど…単語は結構自信あるんだけどな。



そう思いながら先生から採点済みのテストを受け取り見て驚いた。


ほらね、やっぱり。てか、…思ったよりもいいじゃん。


上の単語の方はかなり惜しい感じだ。
これで呼び出される意味がわからない。



「…いいか、英単語は、まぁ、出来たとして…。


なんで、お前下の問題が出来ないんだよ。」


「え、なんで、って言われても…。」



分からなかったんだもん。
授業中の先生の話聞いてなくて。


「ここの問題は、お前のためにあるような問題ばかりじゃねえか。」


「私のため!?」


「そうだ。

英単語のテスト…絶対出来ないと思ってレベルは下げてやって、しかもこんな問題まで載せて…。

今までの俺ならしないぞ、こんなことまで。」