甘いないしょな同居生活~二人はヒミツな関係~

先生はこちらを見てきて目があった。

…タイミング悪い。なんで、ちぎりパンをくわえてる今なの…?

しかも、なんか先生笑ってるし。失礼な…。ちぎりパン、美味しいのに。


めったにクラスでは、先生は笑わない。
それが朝から笑っているということもあり…クラスの女子たちのテンションの上がり具合と言ったら半端ない。

ま、私もドキドキしたけどね。先生の笑顔にきゅんってしたけどね。
わかるよ、みんなの気持ち。


「ホームルームを始めます。」


この一言で、また一日が始まった。
先生の話は簡潔で分かりやすい。だから終わるのも早い。

みんな、すごい名残惜しそうに先生を見つめてる。


「結香ちゃん、さっきの先生、カッコよかったねぇ~♪」


ホームルーム後、るいちゃんはテンション高く後ろを向いてきた。顔がほんのり赤い。

きっとまださっきの先生の笑みが忘れられないのだろう。


「そうだねぇー!もしかして、惚れた?」


「いや、それはないかなぁ。だって、“先生”だから。
憧れはするけど実際は無いかな。」


「ああー、だよね~。」


そうなんだよ。彼は…先生。
いくら、私が先生のことを好きになっていっても私は先生の中ではたくさんの生徒の中の一人。
私が生徒以上の関係になれることはない。


「でも、先生ってもったいないよね。」


「何が?」


「だって、先生の部屋…テレビもエアコンも無いって言ってたじゃん。今時、るいの部屋にだってテレビくらいあるよ…。
テレビの無い生活って、辛いじゃん!!」


ヤバい…笑いたい。るいちゃん、先生の前に言ったことを本当のことだと思ってるんだ。
あ、でも当たり前か。知らないんだもん…。


教えてあげたい!!でも…今はまだ、ちょっと、待っててね。


「そうだね(笑)」


「そんなに給料低いのかな?」


「本当だよね~。」