なんだろう。さっきまで平気だったのに、これからしばらくママとパパに会えないと思ったら急に寂しくなってきちゃった。


「ママー…元気でね。」


「やだ、結香泣かないの。」


「な、泣かないよー!」


「じゃあ、体に気を付けてね。」


「うん、ママも。着いたらメールしてね。」


「分かったわ。」


「では、失礼します。」



先生がママに頭を下げると、ママは一歩後ろに下がり手を振っている。

私も、手を振ると車は動き出した。
ついに、始まったんだ。


先生との、ヒミツな同居生活が。


さて…でも今から私が先生と住む所ってどんな場所なんだろう。
テレビとエアコンが無い生活…って。


「どうしたんだ?怖い顔して。」


「…先生。私、テレビとエアコンの無い生活はちょっと、考えられないんです…。」


私がそう言うと先生は爆笑。
何がそんなにおかしいんですかー!?


「あぁ、わりい。わりい。…ったく。…ふは!!」


…どうやら、ツボに入っちゃってるみたいだよ。まだ笑ってるよ。


「安心しろ。テレビもエアコンもある。」


「えぇぇ!?だって先生前、テレビとエアコンもないって言ってませんでした?」


「あぁ。あれは、嘘だ。」


・・・嘘?なんで、嘘つく必要があるわけ?


「それから、あれ。あのアパート…。」

先生が指差した先を見ると凄いボロい…いや、年期の入ったアパートが。まさか、あれが…?お風呂ついてるかな。



「あ、あのアパート…?」


「ああいう、アパートに確か前、住んでるってクラスでは話しただろうがそれも嘘だ。」


「嘘ー…!?」


し、知らなかった。先生の言っていたのが嘘だったなんて。じゃあ、本当の、今から住む場所はどんなところなわけ!?


どうしよう。心配になってきたよ。


「で、俺の本当の、家…お前が今日から住む場所はここだ。」