何度でも何度でも…

そう、と特に気にした様子もなく前を向いた海斗は、思い出したように、

「ま、なんかあったら言えよ。その時はそれなりの対処をするから」

と、漆黒の瞳を向けてくる

一見無感情にも見えるその瞳の中に、優しい光があるのをしるふは知っている

照れくさくて視線を下げて頷くと海斗が満足そうに笑みを宿すのが気配で伝わってきた

視線の先にあるつながれた手を、そっと握り返す

大きくて暖かい手

いつもいつもしるふを導いてくれた手だ

答えるように海斗が指を絡ませてきて、それだけで満たされてしまう

いつもこうだ

決して多くない言葉と淡泊な態度で不安にさせておいて、きちんと気持ちを示してくれる

ありきたりな言葉じゃない

気が付かないと通り過ぎてしまう気遣い

大好きな漆黒の瞳

やっぱり、たとえ未来がどうなるかわからなくても

確かなものなんてなかったとしても

それでも、海斗との未来を信じていたいって思うんだ