何度でも何度でも…

「しるふ」

白鳥に正確に自分の気持ちを伝える言葉を探していると、凛とした声が響く

反射的に視線を上げると

いつもの白衣姿とは印象が違う、濃紺のスーツに身を包んだ海斗が立っていた

コートを腕にかけ、重そうな鞄を持っている

しゃんと背筋を伸ばして立つ海斗に細身のスーツがよく似合っている

「海斗」

どこかほっとした気持ちから思わず名を呼ぶ

しるふが下の名を呼んだことに白鳥が驚いたように見下ろしてくる

「どうした」

ふと優しい瞳をしるふに向けながら海斗は流れるようにしるふの隣に立つ

「えっと…」

なんていえばいいんだろうか、この状況

「お久しぶりですね、白鳥さん。うちの姫君に何か御用ですか」

小さく口角を上げて白鳥を真正面から見据える

「…そうか、黒崎がしるふさんの言っていた」

これは驚いたな

海斗の深い漆黒の瞳と白鳥さんの優しげなけれど鋭さのある視線が交差する