睨まれても全く動じない海斗は、

「近いと逆に帰らなくなるんだよな」

とひょうひょうと答える

自覚あるんじゃない

「いいのかなー、そんなことやってるうちに可奈ちゃんはどんどん大きくなるんだー」

そのうち近寄ってきてくれなくなるよ?女の子なんてそんなもんだもん

嫌味っぽく言ってみる

「ま、子供は成長が速いからなー」

仕方ないさ

しるふの言葉にあっけらんかと笑いながら、大して気にしていない風な海斗

どうやらいやみ作戦は失敗だったようだ

「もう、もっとショック受けるとかさ、焦るとかしてよ。からかい概がないわ」

たまにはからかわれてくれてもいいんじゃない?

いつもいつも海斗のsっ気に翻弄されているしるふは、最近、意図的に海斗をからかってみることにした

少しもの抵抗とやり返しだ

成功することは、そうそうないけど

「しるふが俺をからかおうなんて100年早い」

その無自覚を直してからにしな

エプロンを外してしるふの横に並びながらすっと漆黒の瞳を向ける