「どこがのろけだっていうのよ」

切られた電話を見つめならがらぼやいていると

「紗雪さんつながった?」

キッチンからテーブルに皿を運んでいる海斗が問いかけてきた

紺色のシンプルなエプロンを身に着けている海斗

さすが、187はだてじゃないわ

ただでさえ背が高いとかっこよく見えるというのに、海斗の落ち着いた雰囲気とそのシンプルさがよく合っている

以前はこうしたオフ雰囲気全開の海斗を見るとひとりでドキドキしていたけれど、今はそこに海斗がいるっていうことに安らぎを覚える

今日のメニューは何だろう

頭の片隅で考えつつ答える

「うん。喧嘩でもしたのって言われた」

「喧嘩?なんで」

ソファから立ち上がり、海斗を手伝うために近づく

こうやって二人で食事を作ることもいい意味で定番になった

キッチンの真紅に置かれている大きめの皿にはキノコ、白菜、豆腐、春雨等々、さまざまな具材が乗っている

違う皿にはおいしそうな霜降りの肉

食にはうるさい海斗は、なんだかんだでいいものを選んでくる

だからこそ、しるふはがっちりと胃袋を掴まれているのだ