「こんにちは」

その男性が、しるふに優しい瞳を向けつつ、あいさつする

洗練された雰囲気が漂っていて、穏やかな空気をまとっている

ザ・できる男って感じの人だ

「こんにちは」

小さく頭を下げながらおずおずと返答する

なんか、いいとこのお坊ちゃまって感じ

もっと普通の人と会うんだと思っていたしるふは内心ついていけてない

それにこうやって好意(恋愛とかではなく)を前面に出されて向き合うのは正直苦手だ

そこまで自分は場馴れしてもいなければ、男に慣れてもいない

「もー、しるふちゃんたら。何緊張してるのよー」

ばしっと叔母が背中を叩いてくる

いったいんですけど…

小さく眉を寄せていたら、向かいの男性は笑って

どうぞ

と椅子に座るように促してくる

うーむ、やっぱり仏でいいのだろうか

心の中で男性を観察しつつ、考える

いや、でも仮面をかぶっているってこともありうる

化けの皮がはがれることほど、ドキモ抜かれることはない

ここは慎重に見極めよう

そう結論してしるふは、そっと椅子に腰かける