何度でも何度でも…

「えー、私は海斗のこと好きって言ったのになんか不公平だよ」

「誰も言ってくれなんて頼んでないだろ。何が不公平だ」

「なによー、海斗はかわいい彼女に大好きって言われてもうれしくないわけー」

「誰がかわいい彼女だ。自分で言うな」

「あまりにも海斗がかわいいとかきれいとか言わないからたまには言わないとさ、海斗が忘れちゃうでしょ?」

だから自分で言うな

ぼそっとつぶやいた海斗が不機嫌そうに視線をずらす

もー、好きだよって一言言ってくれるだけでいいのに

そう思いつつ星空の夜空を見上げる

満ちかけている月が暗闇にらんらんと輝いている

うーん、やっぱり月は満月より三日月だな

「しるふ」

空を見上げていたしるふは海斗に名を呼ばれてふと視線を戻す

すっと海斗が耳元に口を近づける

「-」

短く紡がれた言葉にしるふは体温を上げる

去り際に軽くほほにキスをして海斗はそのまま歩き出す

「ちょ!…もう!海斗!そういうのやり逃げっていうのよ!!」

背後でしるふの焦った、けれど照れている声を聞きながら海斗はふと口端を持ち上げた







ー愛してるよ、しるふが思っている以上にね

耳元で紡がれた言葉は、胸の中を温かくする

なくすのが怖くてもそれがいつだかわからならなくて足がすくんでも

今はこの瞬間を生きていようと思う

少しだけ永遠を信じてみようと思う

海斗と一緒なら

海斗と一緒だから、歩んでいける










今カノの絶叫    -完—