何度でも何度でも…

季節的に6時を過ぎれば外は暗い

しんと静まり返って遠くに車の音や虫の鳴き声が聞こえる夜がしるふは好きだ

その中を海斗とゆっくり歩くのが

初めのころは緊張して変に意識していた沈黙も今は愛おしい

繋がれた手だけが伝えてくれるぬくもりも

合せられた歩調も

時々合う視線も

それだけで幸せだ

こういう時が一番素直になれる

思っていることを伝えたくなる


「ねえ、海斗」

漆黒の瞳に宿るのはいつもと変わらない優しい光

「悔しいけどさ、やっぱり大好きだ」

へへへと照れくさそうに笑いながらしるふは素直になる

「何が悔しいんだよ」

「んー?とことん海斗に落ちてるところ?そいでもってそれを自覚してるところかな」

「それはお相子だろ」

「えー、嘘だー」

絶対自分の方が落ちている

いつもいつもそれが悔しい