何度でも何度でも…

ゆっくりとゆっくりと二人を乗せたボックスは廻っていく

徐々に見えてくる景色は、天気がいいこともあって遠くまで見回すことができる

「うわー!!…ね!海!海見えるよ!」

さっきの不機嫌さはどこへやら、しるふが瞳を輝かせて隣に座る海斗を振り返る

「しるふ海好きだよな」

しるふの機嫌が直ったことに一人安堵の息をつきつつ、海斗は視線を移す

「うん!あ、こないだね、深海ブルーっていう天然石見つけたんだー」

ホントに綺麗な青でね、名前も気に入ったし、思わず買っちゃったんだよねー

「深海って光届かないから黒じゃないのか」

「もー、海斗は夢がない!現実そうだけど、深海のように深い青って意味なのー」

「へー」

さして興味なさそうに相槌を打つ海斗にしるふは瞳を細める

本当は、名前が気に入ったってことろを突っ込んでほしかった

そしたら、深海って名前も好きだけど何より海斗の「海」が入っていて親近感がわいて買ってしまったって言えたのに

ついでにしるふの中で海斗のイメージカラーが青だから

丁度買った天然石のように深くて透明感のある青

光にかざすと薄い青になるのに違うところで見れば濃い青にもなる

そんなことろがますます海斗っぽいなとか思って買ったのに

それを自ら口に出せるほどかわいげのある性格じゃないしるふは、もう、と心で思いつつ再び窓の外を見る