何度でも何度でも…

しるふの怖がりは今に始まったことじゃない

研修医のころ夜になると理由をつけて一人で館内を歩こうとはしなかった

その時は特に何も思わなかったが、そのあとのとある出来事で海斗の中のしるふ認識に「怖がり」が加わった

それでもひとり暮らしをしているし、夜に一人という状況は特に怖がらないからたぶん本人の心の持ちようなのだと海斗は思っている

男だらけのバーに一人で乗り込むような腹の座りと負けん気はあるくせにこういう時ころっと女になる

ま、そういうところがしるふのかわいいところなのだけれど

と思えるところ相当自分もしるふに落ちているもんだと海斗はふと自嘲的な笑みを宿す



さてはて

その後も「ろくろ首」やら「口裂け女」やら池から這い上がる女」といった数々の幽霊に絶叫しながら、隣で海斗が「すっげえメイク」とか「ろくろ首ね、へえ」とかなんとものんびりとした発言を連発する中なんとか脱出成功

あまりの恐怖とそのリアルさにお化け屋敷を出た途端、しるふはしゃがみこんで海斗を睨み付ける

元凶はこいつだ

海斗が、こんな時にsっ気を発揮しなければ、朝に「お化け屋敷あるけど」の一言さえ言ってくれれば…!こんなことにはならなかったのに!!