ジェットコースターに乗り終え、久々にあの浮き沈み感を体験したしるふは、ふと道端で売っているアイスのコントラに目をやる

24度、アイスにはいい感じの気候じゃないか

「海斗」

にっこり笑いながら隣を歩く恋人を呼ぶ

どうした、と瞳を向けてくる海斗に

「じゃんけん、ポン」

反射的にチョキを出した海斗に

「ちょっとー、どうしてまた海斗が勝つのー」

と自分が出したパーを見つめながらしるふが不満そうに唇を尖らせる

「なんのじゃんけん、これ」

反射的に出したはいいが、状況が分からず海斗はしるふを見つめる

「アイスー。勝ったらおごってもらおうと思ったのにー」

海斗じゃんけん強いー

と恨めし気に見上げてくるしるふ

んー、アイスーと名残惜しそうにしているしるふに、ふっと海斗は吹き出す

「だったら最初からそう言えばいいのに、この間も同じ下りしただろ」

「だってー」

こういう時、「ねえ、アイスおごって」と素直にいうのはどうも性に合わない

でもいつもじゃんけんでは勝てない

この前もちょいと高めのアイスの直営店を見つけて同じ下りをしたのだ

しるふがじゃんけんをするときは何かをおごってほしい時なのだ

大体しるふの狙いは外れて海斗が勝ち、でも結局海斗がおごるパターンだ

ま、しるふが見つける物は甘いものばかりで海斗自身は食べないから素通りしてもいいのだけれど、最終的にはおごってしまうところ、常々、しるふにはかなわないと思う海斗である